Shopifyで「1人1点限り(1注文につき1個まで、かつ1人1回まで)」の購入制限を実現したい場面はありませんか?「1人1点限り」の購入制限は、限定商品や人気商品の販売、不正購入対策や転売対策などで有効な販売方法です。
本記事では、Shopifyアプリ「Shopify Flow(無料)」と「GATE 注文制限($7 / 月)」を使ってノーコードで「1人1点限り」の購入制限を設定する方法を解説します。
本記事では次の要件を満たすように設定をしていきます。
- 商品Aは1注文あたり1点までに制限する。
- 商品Aを過去に購入した顧客は、2回目以降の購入を不可とする。
- 同一人物の二重購入を避けるために、商品Aがカートに入っている場合はゲスト購入を不可とする。
- 購入制限の際は、購入不可の状況(1注文で商品Aを複数購入しようとした顧客、過去に商品Aを購入したことがある顧客、ゲスト購入で商品Aを購入)に応じて、適切なアラートメッセージをチェックアウトページに表示する。
※ 本記事中では制限したい商品名を「商品A」としましたが、実際に制限が必要な商品に置き換えて設定してみてください。
「1人1点限り」の購入制限の考え方(まず全体像)
まずは全体像を把握しましょう。今回、商品Aを「1人1点限り(1注文につき1個まで、かつ1人1回まで)」に購入制限するケースについて考えます。全体像を簡潔にまとめると次の通りになります。
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1回の注文で商品Aを2個以上の購入を制限する
- 過去に商品Aを購入済みの顧客は商品Aの購入を制限する (再購入の制限)
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商品Aを購入した顧客に対して自動で「商品A購入済み」の顧客タグを自動でつける設定を行う
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「商品A購入済み」タグのついた顧客は「商品A」を購入できないようにする
- ゲスト購入で「商品A」買えないようにする(= 商品Aの購入は会員登録を必須にする)
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(補足)2-3でゲスト購入を禁止する理由は、ゲスト購入による同一人物による複数回購入を防ぐためです。
事前準備
本記事では「Shopify Flow」と「GATE 注文制限」2つのShopifyアプリを使用して、「1人1点限り」の購入制限を実現します。まだインストールされていない方はインストールをしておきましょう。
Shopify Flow とは
Shopify Flowは、EC運営の定型作業を自動化できるShopify純正の無料アプリです。本記事では特定の「商品を購入したら、顧客タグをつける」という処理の自動化に使用します。
GATE 注文制限 とは
「GATE 注文制限」は、国内最安クラスの価格帯で、個数・金額・顧客タグ・商品などの条件を柔軟に組み合わせて購入制限を実施できる 日本発のShopifyアプリです。Shopify Functions(Cart and Checkout Validation Function API)に準拠しており、テーマ改修に頼らずチェックアウトページでの確実な購入制限を実現できます。
料金は無料プラン(制限あり)とProプラン($7/月)があり、本記事で紹介する「ひとり1点限り」の制限にはProプラン($7/月)の契約が必要です。
「1人1点限り」購入制限の設定手順
この章では、「商品Aをおひとり様1点限り」に制限する具体的な方法について解説します。
1. 1回の注文で「商品A」の2個以上の購入を制限
まずは同一注文内で「商品A」を2個以上購入できないように設定します。
- 「GATE 注文制限」アプリのホーム画面から「ルールを作成する」ボタンをクリックしてください。
- 新規作成画面で次の画像のように条件を設定した上で保存ボタンをクリックしてください。この設定により、「カート内の商品Aの個数が2個以上」の際には、アラートメッセージ(「お一人様1点までの購入制限があります。カート内の数量を1点に変更してください。」)を表示して購入を制限することができます。
- ここまでの手順でルールを下書き状態で保存しました。画面右上の「有効にする」ボタンをクリックして、保存したルールを有効にします。
2. 過去に購入済みの顧客は商品Aを購入を制限する(再購入ブロック)
ここまでの設定では「1注文につき商品Aは1個まで」設定が完了しました。ここからは「同一顧客による商品Aの複数回の購入を制限」を行う設定をしていきます。
【再購入制限①】「商品A」を購入した顧客へのタグの自動付与
まずは商品Aを購入した顧客への「商品A購入済み」タグを付与する設定をShopify Flowで行います。
- Shopify Flowアプリを開き、「ワークフローを作成」をクリックします。
- トリガー(開始時)に Order created を選択します。
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Condition(条件)にて、order > LineItems > Product > Title の順に選択し、Titleに「商品A」と入力します。
- Action(アクション)にて、Add customer tags を選択し、Tagsに「商品A購入済み」を入力します。
- 画面右上の「ワークフローオン」をクリックします。
ここまでで設定したShopify Flowの設定は次の画像のようになります。参考までにご確認ください。
【再購入制限②】タグ付与済みの顧客は「商品A」を購入を制限
ここまでの設定で商品Aを購入した顧客には「商品A購入済み」タグが付与されるように設定できました。次に「商品A購入済み」タグがついた顧客の再購入を防ぐ設定を行います。
- 「GATE 注文制限」アプリのホーム画面から「ルールを作成する」ボタンをクリックしてください。
- 新規作成画面で次の画像のように条件を設定した上で保存ボタンをクリックしてください。この設定により、「顧客タグに"商品A購入済み"がついている顧客 かつ 商品Aがカートに入っている(商品Aの個数が1つ以上)」際には、アラートメッセージ(本商品は“おひとり様1点限り”です。過去にご購入済みのため、再購入はできません。を表示して購入を制限することができます。
- ここまでの手順で購入制限ルールを下書き状態で保存しました。画面右上の「有効にする」ボタンをクリックして、保存したルールを有効にします。
【再購入制限③】 ゲスト購入での「商品A」の購入の制限
最後にゲスト購入(未ログインでの購入)では、商品Aを購入できないようにする設定を行います。言い換えると、会員としてログイン済みの顧客だけが商品Aを購入できるように設定します。
- 「GATE 注文制限」アプリのホーム画面から「ルールを作成する」ボタンをクリックしてください。
- 新規作成画面で次の画像のように条件を設定した上で保存ボタンをクリックしてください。この設定により、「ゲスト購入 かつ 商品Aがカートに入っている(商品Aの個数が1つ以上)」の際には、アラートメッセージ(「商品Aは"おひとり様1点"限りなため、会員ログインが必要です。購入前にログインをお願いいたします。」をチェックアウトページに表示して購入を制限することができます。
- ここまでの手順で購入制限ルールを下書き状態で保存しました。画面右上の「有効にする」ボタンをクリックして、保存したルールを有効にします。
挙動確認
ここまで設定手順で、Shopify Flowのワークフローを1件とGATE 注文制限のルールを3件作成して有効化しました。次に実際にストアフロントで以下のケースで挙動確認を行いましょう。挙動確認の主要ケースは次の通りです。
- 未ログイン状態で商品Aを購入できないこと(商品Aのゲスト購入を不可)
- 会員ログインの上で商品Aを2個以上購入できないこと
- 会員ログインの上では商品Aを1個は購入可能であること
- 会員ログインの上で2回目の商品Aの購入はできないこと
- 商品A以外の商品は通常通り購入可能であること
また、上記で購入が制限されるケースでは、想定通りのアラートメッセージが表示されることも合わせて確認しましょう。
最後に
本記事では、Shopify FlowとGATE 注文制限を使用して、「1人1点限り(1注文につき1個まで、かつ1人1回まで)」の購入制限を実施する方法を解説しました。この記事が皆さんのお役に立てますと嬉しいです。